閉じる
触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない特設サイト|シャレード文庫
「触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない」特設サイト
あらすじ
触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない 書影

サワガニのチャロ、オス、独身。夢は人間になってアオ○ンすること。ある日「人間になる素」を飲んで変身し、通りすがりの男・龍治に拾われる。一人と一匹(?)の奇妙な同居生活が始まるが、変身後もチャロの手はシザーハンズ、精液は蟹ミソと、どうも蟹要素が強いまま。そんなチャロを気味悪がりながらも受け入れてくれる龍治に惹かれるチャロ。チャロの天真爛漫さに孤独を癒される龍治。しかしチャロには蟹としての運命が待ち受けていて…

登場人物
チャロ(人間の姿)

チャロ(人間の姿)

一見人間だが、両手の左右差や透明な血液などカニ要素を強く残している。
龍治のことをリュウと呼び、人間の姿を保つためのルーチンを毎晩彼に求める。
好きという言葉の意味はlikeしか知らないものの、とある理由から龍治と「好き同士」になることをまっすぐに目指す。

チャロ(サワガニの姿)

チャロ(サワガニの姿)

体長5センチ。右の爪が左に比べて少し小さい。人間の営みを観察し、ア●カンに憧れを抱く。
人間の世界では、龍治が用意してくれたブルーの洗面器がお気に入り。
トカゲに大好物を横取りされたことがあり、時折凄まじい執着心をみせる。

龍治(人間)

龍治(人間)

SM店店長。見た目はコワモテでぶっきらぼうだが心優しい。
変身が解けたチャロをネオン街のゴミ捨て場で拾ったことから、自宅であらゆる世話をする羽目に。
目に見えないものは信じないが、一度目に映してしまったものはなんでも受け入れる。

著者より

はじめまして。いしだ赤月です。
このたび「デビュー作にしてチャレンジが過ぎるだろ」という作品にて、チャレンジが過ぎるデビューをさせていただくことになりました。

SNSで皆様が「蟹!?」と話題にしてくださる中、ビビりゆえどこかふわ~っとした宣伝を続けてしまい、おそらく今も「蟹……?」状態の方が大半だと思います。 この場をお借りし、タイトルについてちょっと触れさせてください。

本作は、まったく異なる環境で歩みを経てきた人間とサワガニが、頓珍漢な掛け合いや少々(?)特異な濡れ場を通じて想いを寄せ合う物語です。
現在の文字数圧迫タイトルも私がつけたのですが、実は進行中、まったく違うタイトルをつけていました。

『カニノリズム』(デビュー作にしてチャレンジが過ぎるだろ)

あ、カッコ内はサブタイトルではないです。
コメディっぽくも見え、なんだかドキッとするワードにも見え。
トリプルミーニングくらい意味を込めておりまして、ひとつは「チャロは歌が好き」ということ。割ととんでもない作中歌が登場します。
また、本編ラストまでお読みいただくと、「カニノリズムかそうか、ほぉん…」と、どこかじんわりしていただけるのではと思っています。結局ふわ~っとしていて申し訳ありません……。
旧タイトルには担当様がサブタイトルをつけてくださり、かなりギリギリまで迷いに迷って今の形に。「後ずさりしない蟹面白い」と言ってくださる方が多くて嬉しいです。

隠したい過去や、手放せない記憶。
抱きしめたい今に、抗えない現実。
けっして安心ほのぼのとは言えないストーリーですが、触れられない手でチャロは何を摑むのか、ぜひ最後まで見届けていただき、何かひとつでも皆様の記憶に残していただけたら嬉しいです。
光と闇のネオン街おとぎ話、どうぞよろしくお願いいたします!

編集部より

2024年5月期のシャレード新人小説賞より選出された本作は、なんと“サワガニと人間”という前代未聞の異種間恋愛を描いています。
甲殻類という斬新な設定に、審査時から驚きと話題が絶えませんでした。

一見すると奇抜に思えるかもしれません。けれども読み進めるうちに、命のはかなさや生きることの尊さ、純粋で切実な夢が恋愛を通して瑞々しく浮かび上がり、選考委員の胸を深く打ちました。
その読後感は強く、しかし編集部一同思わず「でも、カニなんだよなあ……」と頭を抱えたのも事実です。

それでも、常に新しい物語との出会いを求めてくださる読者の皆さまに、この驚きと感動をお届けしたいと考えました。
唯一無二の体験を、ぜひお楽しみください。

TOP