立ち読みコーナー
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はじめに

「高校野球を見て感動した!」
 よく耳にします。 あなたは高校野球のどこを見て心を揺さぶられますか?
 
 僕は松竹芸能で芸人をやってます。
 2014年に始まった「アメトーーク! 〜高校野球大大大好き芸人〜」への出演 がきっかけで、プロ野球中継のゲストやU 野球ワールドカップの解説など、もはや芸人の仕事ではないようなものまで出演させてもらっています。
 趣味はもっぱら高校野球観戦。春、夏の甲子園はもちろん、地方大会や興味がある学校には差し入れを持って練習見学させてもらったりもしています。
 子供の頃は“憧れのお兄ちゃん”だった存在が、現在では自分の息子や娘でもおかしくない年になっています。
 そんな時の流れとともに、僕自身の高校球児への思いも変化しました。
 子供の頃はすんごい球を投げるピッチャーや特大のホームランを打つバッターに憧れを抱き、心を持っていかれていました。
 しかし歳を重ねた今では、ベンチ入りが叶わない球児たちがスタンドから同級生のみならず後輩たちをも全力で応援する姿にこそ目を奪われ、心を揺さぶられます。
 バットを握りたい気持ちを押し殺しながらその手に太鼓のバチを握りしめ、仲間のためにスタンドから声を枯らして応援する。
 悔しいよなぁ。辛いよなぁ。
 それでもやる。やりきる。
 泥だらけになることさえできないユニフォームを着た選手たちから、高校野球で学ぶべき大切なことを教えてもらっています。
 たとえここじゃなくても、いつかその努力が形を変えて人生において報われる日がくる―― そう信じています。

 この本では、うまくはいかないことに直面しても、自分の人生と育ててもらった野球から逃げずに立ち向かう、“本当の怪物たち”を紹介しています。
 僕と出会ってくれた彼らとの縁を紡いだ先にあった、数々の野球人の生き様。
 そんな彼らの物語とあなたが間もなく出会う。
 こんなにうれしいことはありません。
 
      2022年7月 かみじょうたけし