立ち読みコーナー
目次
288ページ
第1章 挙動不審な男     6
第2章 感じさせて人妻    65
第3章 透ける肌色      128
第4章 白状しなさい     188
第5章 歌う未亡人      249
「じゃあ、ずっとしてないんですね」
「え、してないって?」
「だから、女のひとと」
 言葉を濁した発言でも、それがセックスのことであるのはすぐにわかった。
「い、いや……それは、その──」
 うろたえる圭一をじっと見つめたまま、彼女がすっと立ちあがる。スチールデスクを回り、彼のそばに寄った。
(な、何を……)
 圭一はどうすることもできず、ひとつ年上の人妻を見あげた。
「立っていただけますか?」
 静かな口調で促され、圭一は怖ず怖ずとパイプ椅子から腰を浮かせた。
「こっち側を向いてください」
 腕を取られ、回れ右をさせられる。スチールデスクに太腿の裏を付けるかたちで、窓のほうを向かされた。
 ガラスの向こうにあるのは、自然豊かな遊園地だ。見えるのはごく一部ながら、灌木の上にジェットコースターの頂上部分が覗いている。