立ち読みコーナー
目次
536ページ
登場人物紹介
レーシー・シャーロック        FBI特別捜査官
ディロン・サビッチ          FBI特別捜査官。シャーロックの夫
ラムジー・ハント           連邦判事。サンフランシスコの英雄。サビッチとシャーロックの友人
モリー・ハント            ラムジーの妻
エマ                 モリーの娘
ショーン               シャーロックとサビッチの息子
イブ・バルビエリ           連邦保安官助手
ハリー・クリストフ          FBI特別捜査官
シンディ・カーヒル          マーク・リンディ殺人事件の容疑者
クライブ・カーヒル          マーク・リンディ殺人事件の容疑者。シンディの夫
ミッキー・オルーク          カーヒル事件の担当連邦検検事補
マーク・リンディ           IT技師
ミロ・サイレス            カーヒル事件の担当弁護人
166ページ~
 シャーロックにはその顔が痛みで青ざめているように見えた。モリーとエマが見ていないのがせめてもの救いだ。それでもラムジーが命を落とすことはないし、犯人は自分たちが捕まえる。もし撃たれて死にかけたのがディロンだったら、自分には耐えられただろうか。シャーロックはふと思い立って、夫にキスした。
 サビッチとシャーロックとハリーはラムジーのベッドのあとについた。イブはラムジーの隣で、腕にそっと手を添えている。彼女がかがんでなにかを話しかけると、ポニーテールが前に垂れて彼女の頬に触れた。シャーロックは笑顔でそれを見ていた。ミロ・サイレスから事情聴取したあと、ディロンが「日々、なにかしら新しいことを学ぶよ。ポニーテールに威力があるのを知ってたか?」と言って、いたずらそうな笑みを見せたのだ。
 エレベーターまで来ると、一行はひとけのない廊下に目を走らせた。エレベーターのドアが開き、ベッドの周囲に身を押しこめるようにして五人が乗りこみ、ドアが閉まった。
 巡査のひとりは、シャーロックたちとともに七階で足止めを喰らっているらしいもう一基のエレベーターの到着を待ち、保安官助手のひとりは階段を使って移動している。シャーロックたちは黙って待ち、ラムジーを乗せたエレベーターが四階から五階に移るのを示す矢印を見ていた。
 そのときだった。大きな金属音とくぐもった銃声が聞こえた。
 サビッチは階段のドアに走り、背後に向かってどなった。「シャーロック、ハリー、侵入経路を突きとめて、捕まえろ!」
 五階で階段室のドアから飛びだしたサビッチを待っていたのは、病院の職員のどなり声と、閉まったエレベーターのドアから漏れる煙をそれぞれの病室の前で見ている患者たちの悲鳴や叫び声だった。五、六人の職員がエレベーターのドアを引き開けようとしているが、ぴくりともしない。サビッチは消火器のケースに走り、斧を取りだした。肩で人垣をかき分け、刃をドアのあいだにはさみ、下に引いてビームセンサーをさえぎった。さっとドアが開く。
 黒煙がもくもくと湧きだした。その煙が薄れてきたときサビッチがなかに見たのは、あたり一面に飛び散った血の赤だった。