料理の修行中に死んだ兄の遺志を継いで六年、故郷の潮来で見世を!
潮来自慢の飯屋はここよ
酒も肴も江戸仕込み
田楽蒲焼き豆腐飯、蕎麦水団汁に餡巻きよ
兄にゆかりの益吉屋
潮来から料理修業のため江戸に来た益吉が病のため二十一の若さで亡くなり、その遺志を継いで出てきた弟の寅吉が六年の修業を終え、これから故郷に戻って見世を開こうとしている。寅吉が修行中の浅草長吉屋の長吉は、六年前に益吉の骨壺を届けられなかった悔い故、潮来まで同行するという。さらにはのどか屋の千吉に、一緒に行って見世びらきまで助けてやれというのだった。
*************秋鯖の味噌煮(本書P66〜67)*************
まずは切り身に塩を振ってから霜降りにしてやることだ。さらに生姜を加えて煮ると、青魚の臭みが抜けて、ちょうどいい塩梅になる。もう一つの勘どころは、煮汁に味噌を入れるのではなく、練り味噌を別につくってから加えることだ。
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【著者紹介】
倉阪鬼一郎 くらさか・きいちろう
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。
2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー、好評を博す。
小料理のどか屋 人情帖 シリーズ
◆ 人生の一椀
◆ 倖せの一膳
◆ 結び豆腐
◆ 手毬寿司
◆ 雪花菜飯
◆ 面影汁
◆ 命のたれ
◆ 夢のれん
◆ 味の船
◆ 希望粥
◆ 心あかり
◆ 江戸は負けず
◆ ほっこり宿
◆ 江戸前 祝い膳
◆ ここで生きる
◆ 天保つむぎ糸
◆ ほまれの指
◆ 走れ、千吉
◆ 京なさけ
◆ きずな酒
◆ あっぱれ街道
◆ 江戸ねこ日和
◆ 兄さんの味
◆ 風は西から
◆ 千吉の初恋
◆ 親子の十手
◆ 十五の花板
◆ 風の二代目
◆ 若おかみの夏
◆ 新春新婚
◆ 江戸早指南
◆ 幸くらべ
◆ 三代目誕生
◆ 料理春秋
◆ 潮来舟唄