柳橋が勿然と消えた!
官軍との戦の真只中。船宿『篠屋』の船頭は…。
江戸城無血開城の下工作に成功した山岡鉄太郎から、西郷隆盛の懐刀益満休之助を横濱の軍陣病院へ運んでほしいと頼まれた。
慶応四年五月二十日、強風に陣羽織の裾をなびかせ騎馬が駆けてくる。篠屋のそばで馬を止め、ひらりと降り立った。六尺豊かな巨大漢。山岡鉄太郎であった。この三月、東征軍参謀の西郷隆盛に目通りし、江戸城無血開城の下工作に成功していた。山岡は、強風のなか横濱の軍陣病院まで益満休之助を運んでほしいという。益満は西郷の懐刀だが流れ弾を受け破傷風にやられ……。
【著者紹介】
森 真沙子 もり・まさこ
奈良女子大学文学部卒業後、雑誌、週刊誌の記者を経て1979年『バラード・イン・ブルー』で第33回小説現代新人賞を受賞し、文壇デビュー。以後、近代史や現代史に材を採ったミステリー作品で活躍し、近年では中世、古代史にも範囲を広げ、歴史推理や歴史伝奇作品を精力的に発表している。
柳橋ものがたり
◆ 船宿『篠屋』の綾
◆ ちぎれ雲
◆ 渡りきれぬ橋
◆ 送り舟
◆ 影燈籠
◆ しぐれ迷い橋
◆ 春告げ鳥
◆ 夜明けの舟唄
時雨橋あじさい亭 シリーズ
◆ 千葉道場の鬼鉄
◆ 花と乱
◆ 朝敵まかり通る
箱館奉行所始末 シリーズ
◆ 箱館奉行所始末 異人館の犯罪
◆ 小出大和守の秘命
◆ 密命狩り
◆ 幕命奉らず
◆ 海峡炎ゆ
日本橋物語 シリーズ
◆ 日本橋物語 蜻蛉屋お瑛
◆ 迷い蛍
◆ まどい花
◆ 秘め事
◆ 旅立ちの鐘
◆ 子別れ
◆ やらずの雨
◆ お日柄もよく
◆ 桜追い人
◆ 冬螢