
──植物は嘘をつかない
植物は優しい。どこまでも優しい。
植物に囚われる、この病は人々の救いなのかもしれない。
樹木医である雨宮芙蓉は、心療内科医の朝比奈匡助の依頼で、奇妙な仕事をしていた。それは寄生植物病(通称・ボタニカル病)、つまり植物に寄生されるという未知の病に罹った人々を診察すること。さまざまな植物に寄生された患者たちを治療するために、患者たちの持つ苦悩に向き合い、耳を傾ける芙蓉。しかし、この病には大きな謎が潜んでいた──。
【著者紹介】
有間カオル(ありま・かおる)
『太陽のあくび』で第16回電撃大賞メディアワークス文庫賞を受賞しデビュー。他に『魔法使いのハーブティー』、『招き猫神社のテンテコ舞いな日々』(KADOKAWA)、わすれな荘シリーズ(角川春樹事務所)、『気まぐれ食堂 神様がくれた休日』(東京創元社)、『青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿』(宝島社)など。
2016年の隠れた名作を増補改訂、改題の上、文庫化。
『二見書房の怖い本』特設サイト掲載作品