夜中に宿の床を出た客、思い詰めた顔で大川へ。
気づいた千吉が追う!
死にそこなった素人落語家浅草亭夢松は元乾物屋の主。
身投げ騒動の続く大川端に「動く自身番」の旨い物屋台を出さないかと誘われて…。
元大和梨川藩の磯貝徳右衛門は侍を捨て、料理人時吉となった。女房おちよと旅籠付き小料理のどか屋を開き人気を博している。そんなのどか屋に素人落語家で元乾物屋主の元松が宿をとった。夜ふけて元松は起きだし、思い詰めた顔で大川に向かった。これに気づいた、のどか屋の一人息子千吉は後を追う。不自由な左足で必死に走る。噺家のおじちゃんが死んじゃう。
*****本書に登場する小料理*******
・加丹生煮(かにぶに)蟹と蕪 ・蛤の酒蒸し
・寒鮃の竜皮昆布巻き ・牡蠣飯 ・牡蠣の浅草揚げ
・昆布の寿揚げ ・鯛の雪化粧蒸し ・細魚の糸造り
・牡蠣大根鍋 ・寒鰤の照り焼き
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【著者紹介】
倉阪鬼一郎 くらさか・きいちろう
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。
2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー、好評を博す。
小料理のどか屋 人情帖 シリーズ
◆ 人生の一椀
◆ 倖せの一膳
◆ 結び豆腐
◆ 手毬寿司
◆ 雪花菜飯
◆ 面影汁
◆ 命のたれ
◆ 夢のれん
◆ 味の船
◆ 希望粥
◆ 心あかり
◆ 江戸は負けず
◆ ほっこり宿
◆ 江戸前 祝い膳
◆ ここで生きる
◆ 天保つむぎ糸
◆ ほまれの指
◆ 走れ、千吉
◆ 京なさけ
◆ きずな酒
◆ あっぱれ街道
◆ 江戸ねこ日和
◆ 兄さんの味
◆ 風は西から
◆ 千吉の初恋
◆ 親子の十手
◆ 十五の花板