十四歳の娘の弟子入りを頑なに拒む老絵師の心の扉を開くのは?
旅籠付き小料理のどか屋に兄の形見の絵筆を胸にした娘と父母が宿をとった。
同じ日、上州から船大工を名乗る五人組が投宿して……。
刀を包丁に持ち替え江戸に出て料理人となった時吉とおちよの旅籠付き小料理のどか屋に、十四歳の娘を連れた両親が宿をとった。娘はけなげにも、兄の形見の絵筆を胸に、根岸に住む八十過ぎの老絵師の弟子になりたいと願う。同じ日、上州から来たという五人組の船大工が投宿した。ところがこの五人、なにやら素振りがいぶかしい。二組の“訳あり”の投宿者に何が起こるのか。
********本書に登場する小料理**********
⦿彩り焼き(海老・玉子・葱)⦿松茸飯
⦿加須天以羅(かすていら)芋 ⦿鰯の卯の花和え
⦿甘薯づくし(蒲鉾芋・五色芋・海苔巻き芋・芋金団)
⦿穴子づくし ⦿秋刀魚の菊巻き ⦿耳うどん鍋 ⦿海苔飯
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【著者紹介】
倉阪鬼一郎 くらさか・きいちろう
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。
2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー、好評を博す。
小料理のどか屋 人情帖 シリーズ
◆ 人生の一椀
◆ 倖せの一膳
◆ 結び豆腐
◆ 手毬寿司
◆ 雪花菜飯
◆ 面影汁
◆ 命のたれ
◆ 夢のれん
◆ 味の船
◆ 希望粥
◆ 心あかり
◆ 江戸は負けず
◆ ほっこり宿
◆ 江戸前 祝い膳
◆ ここで生きる
◆ 天保つむぎ糸
◆ ほまれの指
◆ 走れ、千吉
◆ 京なさけ
◆ きずな酒
◆ あっぱれ街道
◆ 江戸ねこ日和
◆ 兄さんの味
◆ 風は西から
◆ 千吉の初恋
◆ 親子の十手
◆ 十五の花板