円環する時のなかで蘇る聖域――
滅びゆく世界で密やかに息づく孤独な廃墟たち
気鋭の女性写真家による夢幻写真集。
移ろいゆく廃墟の記憶……
しかしその廃墟がまだあるのかさえ私にはわからなかった。確かめるには、ふたたびそこへ行くしかないのだ。残された写真だけが廃墟が存在したという証だった。
私は西日が当たる廃墟にレンズを向け、チタニウムのシャッターをゆっくりと押した。
(本文より)
【著者紹介】
三五繭夢 サンゴマユム
1979年、東京都生まれ、京都市在住。写真家。2003年、『廃墟ノスタルジア』(二見書房)を上梓。書籍、雑誌だけではなく、CDジャケットなどの撮影も手がけている。